【プログラム】海峡に響くシンフォニー2013

 下関市民会館で行われた「海峡に響くシンフォニー2013」で海上自衛隊佐世保音楽隊の演奏を聴いてきましたよ?

海峡に響くシンフォニー2013
2013年6月22日(13:30開演)す
下関市民会館大ホール
【演奏曲目】
  • 第1部
    • 出航(岩下章二)
    • セントルイスブルースマーチ~君の名は (W.C.ハンディー/古関裕而)
    • 明日があるさ(中村八大)
    • 長崎県スポーツ行進曲(秋山紀夫)
    • 加山雄三メドレー(弾厚作)
      君といつまでも~お嫁においで~サライ
    • 天地人(大島ミチル)
    • 海の彼方の空で(福田なおひろ)
  • 第2部
    • 口笛を吹いて働こう~楽器紹介のための(真島俊夫(編))
    • 「海猿」から(佐藤直紀/Hayato Tanaka)
      Courage~Precious
    • 家族になろうよ(福山雅治)
    • ジャパニーズ・グラフィティ XVII 美空ひばりメドレー(星出尚志(編))
      愛燦燦~リンゴ追分~お祭りマンボ~川の流れのように
    • 夢やぶれて(C.M.シェーンベルク)
    • キャラバンの到着(M.ルグラン)
  • アンコール
    • ふるさと(唱歌)
    • 行進曲「軍艦」(瀬戸口藤吉)
【出演】
  • 海上自衛隊佐世保音楽隊

 下関基地隊の開隊記念演奏会として毎年行われている演奏会です。
今期は下関基地開隊60周年という節目の年なので、何かおもしろい曲がプログラムにのるかもしれないと思い聴きに行くことにしました。
下基がというより佐世保地方隊そのものが今期開隊60周年になるので、佐音の定期演奏会あたりを狙った方が委嘱曲の類は確実に聴けそうなのですが、さすがに佐世保日帰りは厳しいですし……。(^^;
 実は今回のプログラムは5月に長崎で行われた佐音のファミリーコンサートとほとんど同じでした。
5月31日に地方隊主催公演があったのなら、6月22日の基地隊主催公演のプログラムが5月のプログラムを改訂したものになるのは想像に難くありません。
開場待ちの最中にだらだらネットをしていて5月のファミリーコンサートのことを知ったぴぎーさん、ちょっと涙目です。
でも更にネットを続けていると、そのファミリーコンサートが「佐世保地方隊創設60周年」という冠がつけられた演奏会だったということもわかり、ぴぎーさんの期待は逆に高まることに。
結果としては期待どおりに「おもしろい曲」を聴くことができたので結果オーライなのですが、演奏会に応募する際は一応直近の演奏情報もチェックしておいた方が聴きたい曲の当たり度はあがるかも……とちょっと思ったぴぎーさんです。

 演奏会の色合いとしてはファミリーコンサート系の演奏会です。
実際ファミリーコンサートのプログラムを改訂してもってきていますし。
 第1部は開隊60周年にちなんで昭和から平成までの曲を順に追った構成となっていました。
第2部は映画にちなんだ曲を中心にした選曲です。
第1部の「出航」と「海の彼方の空で」は佐世保音楽隊ならではの曲です。
下基60周年、というより佐地隊60周年的にはこの2曲が聴きどころだと思います。
なので正直「これは隊長の棒でなくていいのか?」と思わなくもないのですが(1部の指揮は副隊長です)、プログラム的には1部向きなのですよねぇ。
60周年の記念曲ではないのでこれが順当なやり方だとは思いますが、隊長の棒でも「ならではの曲」を聴いてみたかったな。

 「出航」は以前少し書いたように、元佐世保音楽隊隊長の岩下章二氏により作曲された曲です。
以下はCD「日本のマーチ(戦後編)」(KICW3012)の解説書からの引用です。
 1989年当時海上自衛隊佐世保音楽隊隊長をつとめていたとき作曲した行進曲。その年はちょうど、海上自衛隊創設35周年と佐世保開港100周年の年でもあり、それを記念して、大海原へ雄々しく出航してゆく護衛艦の勇ましい姿を行進曲にしたものと作曲者はのべている。
今時点で入手可能な録音は事実上前述の「日本のマーチ(戦後編)」一択状態ですし、なかなか珍しい曲だと思います。
 「総員」を意味する号笛が響いたあとに「出港」らっぱが続き音楽が始まるのですが、今回はらっぱのあとに更に「出港!」という掛け声もかかりました。
ちなみに出港らっぱはらっぱではなくトランペットが奏します。
今時のこういう光景を描写した曲には途中に必ず「困難な状況」の描写がでてくるのですが、行進曲であるこの曲では最初から最後まで勇壮な護衛艦の姿が描かれます。
イメージするなら観艦式などで見かける護衛艦が縦列で進んで行くあの様子でしょうか。
広がる海へ向かって護衛艦隊が雄々しく進んでいく……そんな映像が浮んでくる曲です。
 「海の彼方の空で」は現佐世保音楽隊のトロンボーン奏者である福田なおひろ氏(漢字がわからないのでひらがなです)による作曲です。
「海の彼方」ではなく「彼方の空」というのがポイントですね。
海上自衛隊をイメージした曲というと、どうしても大海原を進み行く護衛艦、世界の海で活躍する隊員たちという描写になりがちなのですが、この曲は海の上ではなく空の上での隊員たちの活躍が描かれています。
海上自衛隊が活躍するのは海の上だけとは限りません。
空でがんばる方々もいらっしゃるのですから、こういう曲はいいですよね。
次はぜひ陸でがんばっている方々もぜひ音楽にしていただきたいところです。
 「出航」が昭和の自衛隊の姿なら、「海の彼方の空で」は平成の自衛隊の姿です。
この2曲を比べると、26年の間に随分とかわったものもある反面ずっとかわらないものもあるのだなと思わせられます。
こういった時代ごとの「自衛隊の姿を描いた曲」を比べて聴けるというのはおもしろいプログムだと思います。
1部が「出航」で始まり「海の彼方の空で」は終わっているのは音楽で時代を順に追っているからなのでしょうが、昭和の自衛隊と平成の自衛隊との対比だと思って聴くのも有りじゃないかなぁ。

 「明日があるさ」と「家族になろうよ」は歌つきでした。
「明日があるさ」は昭和39年のヒットした曲として選曲されている上に、歌っている隊員さんがどことなく坂本九氏に似たところがある方だったので、歌詞がウルフルズの「ジョージアで行きましょう編」だったのでふきそうになりました。
ええーっ?! という感じですよね。(笑)
でもわたし、結構「ジョージアで行きましょう編」は好きだったりするのでこれは認めます。(笑)
 「長崎県スポーツ行進曲」は1969年の長崎国体のために作られた曲なのですが初めて聴きました。
演奏前に歌劇「蝶々夫人」の「ある晴れた日に」使われていると紹介されましたが、「ある晴れた日に」より先に「長崎の鐘」がでてきますよね、これ?
そっちには触れないのはなぜ?
トリオが「ある晴れた日に」の変奏なのですが、軍歌系行進曲のトリオのように1曲まるっと組み込まれているのではなく、「ある晴れた日に」の冒頭部の旋律が繰り返されています。
聴いてると妙にテンションのあがってくる行進曲です。
 「加山雄三メドレー」はジャパニーズ・グラフィティー の「弾厚作作品集」かと思うのですが、なんだか微妙に違うような気が。
もしかしたらわたしがジャパグラのメロディーを間違って記憶していたのかもしれませんが、今更確認はできないで、「多分ジャパグラ」ということにしておきます。
 「海猿」はアデン湾への派遣の際に海上保安官が護衛艦に同乗したことに絡められています。
海保7管区の本部長夫妻がお越しになっていたようで紹介されていましたが、そういうのも仕事のうちの本部長はともかく奥様は大変だなと。(^^;
「Precious」は楽器ソロが歌っていて良かったです。 

 今回は「指揮者が違うと楽隊が同じでも違う音になるけれど、指揮者が同じだからといって違う楽隊で同じ音になるわけではないんだよな」という、当たり前で今更なことをしみじみと思いながら演奏を聴いていました。
指揮者か楽隊のどちらかが同じだと似た傾向の音になったりするけれど、似てはいてもやっぱり別物だなぁ……みたいなことを考えていたのです。
1部と2部で指揮者が違った上に、佐世保音の現隊長が舞鶴音の前隊長なこともあってそんなことを思ってしまいました。
 アフロキューバンなリズムの「キャラバンの到着」はかつて舞音のラテン系の音楽がそうだったようにパワフルに押しの強い演奏でしたが、やっぱり舞音とは違うのですよね。
当然といえば当然です。
逆に言うと「植田隊長&佐音の音」と「植田隊長&舞音の音」の差異の部分が佐音の音ということになるわけなので、同じ指揮者で違う楽隊の演奏を聴くというのは楽隊の音がわかりやすくて楽でいいかも……とちょっと横着なことを考えてしまいました。(^^;

 次に佐音を聴けるのはいつになるかはわかりませんが、なんとかまた聴きに行きたいと思います。
 そうそう、入場整理券(はがき)に「開演10分前にこの券は無効となります」という記載があるのにびっくりしました。
「キャンセル待ち」というシステムがある都合だと思うのですが、うまい方法を考えましたね。
キャンセル待ちを正式なシステムにすることで応募期間が過ぎてから演奏会があることを知った人や抽選に外れた人には演奏を聴くチャンスができますし、自衛隊側は当日発生した空席を埋めていくことができます。
そしてこのやり方だと途中入場が発生しないので、演奏中に空席を探して移動する人に観客の「聴く態勢」が邪魔されることもありません。
三方よしです。
下基のスタイルなのか佐地隊のスタイルなのかはわかりませんが感心しました。
そういえばわたしが自衛隊音の演奏会で事前座席指定制の演奏会を初めて経験したのは佐音の演奏会だったのですが、その時から何年も経つ今でも、その演奏会がわたしの経験した事前指定の演奏会の中では一番うまくて気の利いたやり方だったりします。
「音楽演奏会」というイベントというものを理解した上でのノウハウが佐地隊には蓄積されているのかもしれませんね。

| 海上自衛隊音楽隊::佐世保音楽隊 | 11:38 PM | comments (0) | trackback (x) |


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